名無しさん(東京都)
2023/03/05(日) 15:25:00 ID:CMsrkjya
滋賀県日野町で1984年、酒店経営の女性が殺害され金庫が奪われた「日野町事件」の第2次再審請求審で、再審開始を認めた2018年7月の大津地裁決定に大津地検が即時抗告した際、再審決定を出した裁判官3人が「看過できない重大な理解不足がほぼ全体にわたって随所に見受けられる」と検察を批判する意見書を大阪高裁に提出していたことが3日、京都新聞社の取材で分かった。意見書は検察の判断に反論した上で、高裁に慎重な検討を求めていた。
刑事訴訟法423条は、裁判所が抗告に理由がないと判断した場合、抗告から3日以内に意見書を上級裁判所に送ると定めている。大津地裁の意見書は10ページにわたって検察の抗告に反論。専門家によると、これほどまでに長い意見書は異例といい「再審を決めた裁判体の強い熱意が感じられる」と指摘する。
大津地裁(今井輝幸裁判長)は18年7月11日、強盗殺人罪で無期懲役が確定し服役中に死亡した元受刑者の阪原弘さんについて再審開始を決定。決定を不服として検察が即時抗告した2日後の同19日に意見書は作成されていた。
検察は抗告申立書で、「無罪を言い渡すべき明らかな証拠を新たに発見したとき」とする刑訴法上の再審開始要件を巡り、「(地裁は要件を)緩く解し、全ての鑑定書や意見書について新規性を認める誤った判断をしている」と批判。これに対し、意見書は「新規性のある証拠と認めなかった大多数の証拠には言及していない」「検察官の批判は正鵠(せいこく)を射ていない」と厳しい言葉で反論していた。
意見書は間接証拠の評価についても詳細な反論を加えていた。事件当日、知人宅で酔って寝込んでいたとする阪原さんのアリバイ主張を巡り、弁護団がこの主張に沿う女性の証言を新証拠として提出したことを挙げ、「アリバイが虚偽ではない合理的疑いが生じている。端的にみて、これだけで阪原さんの犯人性を推認することが困難となるはず」と述べた。
さらに、遺体発見場所の「引き当て捜査」や、阪原さんによる遺体の結束方法の再現、被害女性の葬儀への不参加などを論拠とする有罪立証は薄弱と指摘。「(間接証拠に)阪原さんが犯人でないとしたら合理的に説明することができない事実は含まれていない」との結論を改めて導き出した。
大阪高裁は2月27日、これらの間接証拠を巡る地裁の判断をおおむね追認し、再審開始を再び認めた。
弁護団の伊賀興一団長は「地裁が苦心して導き出した再審開始決定に、検察が誤解と偏見を持って理由のない異議を申し立てたことがよく分かる」と話す。がよく分かる」と話す。
■元東京高裁判事の木谷明弁護士の話
即時抗告から3日という期限もある中、裁判所は通常なら「抗告申立には理由がないものと思量する」との一文を意見書として送るのみで、ここまで詳述した意見書は見たことがない。(再審開始を再び認めた)高裁の決定にも影響したのではないか。抗告審では検察の抗告申立理由だけが一方的に影響する可能性があるため、裁判官の意見は重要。容易なことではないが、他の再審事件でもこうした詳細な意見書が送られるべきだ。
本来は、再審請求事件において検察は公判時のように対立するのではなく、公益の代表者として審理に協力する立場だ。自身の見解が採用されなかったからといって抗告すべきではない。日野町事件でも、理由のない特別抗告は絶対にしてはいけない。
京都新聞 2023/03/04
https://nordot.app/1004509308873965568?c=39546741839462401
刑事訴訟法423条は、裁判所が抗告に理由がないと判断した場合、抗告から3日以内に意見書を上級裁判所に送ると定めている。大津地裁の意見書は10ページにわたって検察の抗告に反論。専門家によると、これほどまでに長い意見書は異例といい「再審を決めた裁判体の強い熱意が感じられる」と指摘する。
大津地裁(今井輝幸裁判長)は18年7月11日、強盗殺人罪で無期懲役が確定し服役中に死亡した元受刑者の阪原弘さんについて再審開始を決定。決定を不服として検察が即時抗告した2日後の同19日に意見書は作成されていた。
検察は抗告申立書で、「無罪を言い渡すべき明らかな証拠を新たに発見したとき」とする刑訴法上の再審開始要件を巡り、「(地裁は要件を)緩く解し、全ての鑑定書や意見書について新規性を認める誤った判断をしている」と批判。これに対し、意見書は「新規性のある証拠と認めなかった大多数の証拠には言及していない」「検察官の批判は正鵠(せいこく)を射ていない」と厳しい言葉で反論していた。
意見書は間接証拠の評価についても詳細な反論を加えていた。事件当日、知人宅で酔って寝込んでいたとする阪原さんのアリバイ主張を巡り、弁護団がこの主張に沿う女性の証言を新証拠として提出したことを挙げ、「アリバイが虚偽ではない合理的疑いが生じている。端的にみて、これだけで阪原さんの犯人性を推認することが困難となるはず」と述べた。
さらに、遺体発見場所の「引き当て捜査」や、阪原さんによる遺体の結束方法の再現、被害女性の葬儀への不参加などを論拠とする有罪立証は薄弱と指摘。「(間接証拠に)阪原さんが犯人でないとしたら合理的に説明することができない事実は含まれていない」との結論を改めて導き出した。
大阪高裁は2月27日、これらの間接証拠を巡る地裁の判断をおおむね追認し、再審開始を再び認めた。
弁護団の伊賀興一団長は「地裁が苦心して導き出した再審開始決定に、検察が誤解と偏見を持って理由のない異議を申し立てたことがよく分かる」と話す。がよく分かる」と話す。
■元東京高裁判事の木谷明弁護士の話
即時抗告から3日という期限もある中、裁判所は通常なら「抗告申立には理由がないものと思量する」との一文を意見書として送るのみで、ここまで詳述した意見書は見たことがない。(再審開始を再び認めた)高裁の決定にも影響したのではないか。抗告審では検察の抗告申立理由だけが一方的に影響する可能性があるため、裁判官の意見は重要。容易なことではないが、他の再審事件でもこうした詳細な意見書が送られるべきだ。
本来は、再審請求事件において検察は公判時のように対立するのではなく、公益の代表者として審理に協力する立場だ。自身の見解が採用されなかったからといって抗告すべきではない。日野町事件でも、理由のない特別抗告は絶対にしてはいけない。
京都新聞 2023/03/04
https://nordot.app/1004509308873965568?c=39546741839462401